更新日:2024.08.14
表立っては聞きにくい転職活動における「これってどうなの…?」という看護師さんの疑問を、美容クリニックの採用担当者に直撃!
希望の美容クリニックへの内定獲得のために、知っておきたいリアルな内情とは…?
今回は、人気美容クリニックグループで採用人事を担当されるTさんに、採用面接の加点・減点ポイントを伺いました。
目次
――Tさんのクリニックの採用活動の特徴についてお聞かせください。
私たちはお人柄重視の採用活動を行っています。
そのため筆記試験や看護知識の確認などはせずに、面接のみで採用を判断します。
看護師である時点で国家資格取得の努力ができる、2年以上の病棟勤務経験から厳しい仕事を頑張れるガッツや知識のある方だと考えられるためです。
面接で確認したいのは、私たちのカラーに合っているか、どれくらい美容がすきであるか、さらに今後も努力し続ける意思があるかという点です。
一般的な質疑応答だけではなく、当グループについて理解を深める機会にしてもらいたいので、おひとりあたりの面接に1時間~1時間半ほどの時間をかけています。
――時期によっては応募倍率が6~10倍になることがあると伺いました。面接も厳しくなるものでしょうか?
そうですね。面接は応募者の皆さんの良い部分を探すためのものですが、特に高倍率の4月入職の採用は厳しい目線になってしまいます。
採用枠が限られる以上、悪い部分が目立ってしまう方は減点せざるをえない状況です。
皆さんの強みを引き立てるためにも、いかに面接時のマイナスを少なくするかが大切だと思います。
まず、面接当日はお約束の時間を守っていただくこと。時間が近づくと私たち面接官は、空調に気を配ったり、テーブルを拭いたりと、お迎えの準備を整えながら応募者の方をお待ちしています。
そんななか時間をすぎてもお見えにならないと、事故に遭っていないかと心配になってしまいます。
電車遅延などのイレギュラーが発生している場合は、「遅れてしまうかも…」の段階でぜひご連絡をお願いしたいですね。
到着から面接までの時間を患者さまと同じ待合室で待機していただくことになるため、あまりに早すぎる到着もお控えいただけると助かります。
最寄り駅までは早めに向かっておいて、近くのカフェなどで待機していただくと、気持ちにゆとりをもって面接に臨めるのではないでしょうか。
――トラブル時に相手を心配させないことが大切ということですね。応募者のどんなポイントを見ているのか、具体的に教えていただきたいです。
本番の面接以前の部分ですが、実はクリニックへの到着時の皆さんの様子を受付スタッフにヒアリングしています。
受付スタッフから「お声がけする前に、応募者の方から名乗り出てくださいました」「姿勢を正してお待ちいただいていましたよ」などと聞けると安心しますね。
採用後には一緒に働く仲間を意識できているかどうかは、採用の評価ポイントになりえます。
待合室でリラックスしすぎてしまうのか、脚を組みスマホを操作される…という方も中にはいらっしゃるんです。
到着時から面接は始まっている、そんな気持ちでいてくださると、自然と姿勢がぴしっとするはずです。
もう一点、冬場の面接でコートやマフラーを着けている場合は、クリニックに入る前に外しておきましょう。
社会人マナーの範疇ではありますが、看護師さんたちが意外と見落としがちなポイントだと思います。
受付の方の目線は厳しいですが、私たちは何よりの判断材料として活用しています。
――いよいよ面接!開始1分で不採用を判断されることはあるのでしょうか?
面接が始まる前段階で、ご連絡なしに遅刻される、受付での応対に問題があった。
加えて面接の出だしから目に付く問題があれば、1分で不採用までとはいかずとも「厳しいかもしれない」と思うことはあります。
第一印象を左右するのは、やはり身だしなみの部分です。
スーツがほこりまみれになっていないか、靴が泥などで汚れてはいないかなどは、接遇を大切にする美容クリニックの面接時に注目されるポイントです。
面接時にご持参いただく履歴書と職務経歴書。実はこれらの出し方もチェックしています。
あらかじめ鞄の取り出しやすい位置に封筒を用意しておき、出した書類を見やすく整えて渡していただけると、それだけで好感度が高いですね。
反対に慌てて鞄の中を探している様子だと、「少し想像力に欠ける部分があるかも…」「なんのためにお越しいただいているのだろう…」という印象につながります。
身だしなみも書類の提出も、知ってさえいればすぐに対策できる部分なので、面接前に見直しておいていただけるといいですね。
――その他に準備不足による失敗例などはありますか?
準備が大きく影響するのが、オンライン面接です。
Google meetやzoomなど指定されたミーティングツールを使い慣れておらず、接続がうまくいかないケースもありました。
事前に調べたり練習したりしておくことをおすすめします。
スムーズにつながると焦らず面接に集中できますし、「パソコンや電子カルテの取り扱いも大丈夫そう」と、面接官にも好印象ですよ。
万が一接続不良などのトラブルが生じた場合は、緊急連絡先で連絡を取り合うことになります。
この時もクリニックからの連絡を待つのではなく、自分からアクションを起こすことができれば、マイナスの印象にはならないと思います。
「仕事で困ったときにも、自分から積極的に動いてくれそうだ」とイメージできます。
あとは、指定のデバイスを用意できていない場合です。
「パソコンでご参加ください」とお伝えしていたところにスマートフォンで接続されていて…「パソコンのみに対応した試験を受けてもらおうと思っていたのにな」なんてことも起こりえます。
どうしてもご準備が難しい場合は事前に申し出ておきましょう。
いずれも「正直に事前に申し出ていただく」ことが大切です。それさえあえれば減点対象には繋がりません。
――オンライン面接の好印象の例やコツなどをお聞きしたいです。
以前レンタルスペースから面接にご参加くださった方がいたのですが、通信が安定していて音声もクリアで、ご自身にできる努力をしてくださったことが好印象でした。
ご自宅からだと画面越しに私生活が見えやすかったり、ご家族が後ろを通られたりすることがあります。これらは面接官も承知のことで特段問題はないのですが、もしもご自宅が落ち着かない環境であれば場所を変えるのもひとつの手ですよね。
レンタルスペースやホテルのデイユースなどは、数千円で利用可能です。
オンライン面接には、対面とは違う難しさがあります。
ひとつは表情が伝わりにくいこと。いつも以上に笑顔を意識して臨んでいただきたいです。
次に話すタイミングです。オンライン上で互いが同時に話し始めてしまうと音声が途切れてしまうことがあります。
面接官から質問を受けたら「ありがとうございます」と言ってから回答を始め、話し終えたら「以上です」と加えるとスムーズになりますよ。
ちょっとしたコツですが、やるだけで印象アップなのでぜひ試してみてください。
――面接中に失敗をリカバリーするにはどうすればいいでしょうか?
身だしなみや受付への対応などは準備段階のお話なので、それ自体を挽回するのは難しいかなと思います。
ただ、面接内での志望動機に説得力があったり、ご自身をうまくアピールしたりすることで内定を勝ち取られる方もいらっしゃいますよ。
マナーなどについては知らずに失敗してしまった部分なので「今後は気を付けていきましょう」でいいんですよね。
――説得力のある志望動機とは…?
応募者の皆さんが聞かせてくださる志望動機で多いのが、「美容が好きだから」というもの。
実はありふれているので、具体的なエピソードがあると説得力を感じられます。
さらに、好きな美容でどのような仕事をしていきたいのかなど、未来がイメージしやすいお話だといいですね。
面接では、面接官の気持ちを感じ取って、採用側の不安を解消できるかもポイントになると思います。
例えば、こちらが心配してしまうほど緊張された方がいらっしゃったとします。
そんな時に「実はあがり症で緊張しやすい性質なのですが、堂々と接客できるように美容の知識を身につけたいです」と話してくださると、ご自身の弱みを理解して改善していく気持ちがあることが伝わってきます。
――経歴面での弱みも面接でカバーできるものでしょうか?短期離職が続いているなど…
短期離職の理由のほとんどが、ご自身の思い描いていたイメージと、就業先の現実に大きなギャップだと思っています。
「想像以上に夜勤が大変だった」「日々パワハラのストレスを受けていた」「通知されていた労働条件が守られていなかった」「有給を使わせてもらえなかった」など、労働者の権利が守られていない職場は残念ながらあります。
そうした事実があった場合は、ぜひ面接でお聞かせください。
夜勤が身体に合わない方が、日勤のみの美容クリニックに進むことは矛盾のない選択ですし、前職の労務条件が整っていないことに悩まれていたのであれば、「私たちはきちんと整えているので安心してください」とお伝えすることもできます。
パワハラや人間関係については、本音を上手にコーティングして伝えられるといいと思います。
前職での悩みを踏まえ、「こんな指導をしてくれる職場を探している」「自分はこんな風に取り組みたい」と具体的な解決案まで話せると、採用側も合う・合わないを判断しやすくなります。
ギャップが少なく済めば、お互いのためになるはずです。
――「面接時のこんなアピールが意外と響いている」というエピソードがあればお伺いしたいです。
面接では、一見看護師の仕事に関係なさそうなお話を掘り下げることがあります。たとえば学生時代の接客のアルバイト。
「料亭でアルバイトをしていて、大切な会食での配膳を任されていました」「ファミレスで混雑時こんな風に工夫をしました」などのお話は、接客接遇が重視される美容クリニックにおいてプラスの経験だと思います。
病棟では、意識がなくコミュニケーションが難しい患者さまを担当することもあると思います。
責任も大きく立派な経験ですが、「接客は大丈夫かな」「敬語はどうだろう」という想像につながることもあるんです。
アルバイトや部活動など、社会人になるまでのエピソードもプッシュしていただけたらと思います。
そしてこれは私の持論なのですが…音楽やスポーツの経験があると良いなと思っています。
リズム感がポイントなので「ライブに行くのが好き」などでも笑
というのも、美容看護師は患者さまにレーザー照射をするため、手先が不器用な方は最初かなり苦労されるんです。
刺激や痛みを伴うマシンもあるので、一定のリズムで照射できると、患者さまも心の準備ができストレスを最小限におさえられます。
こんな風にいろいろなお話を伺っていくので、面接前には広い視点でご自身を振り返っておいていただくことをおすすめします。
思わぬ強みを発見できるかもしれません。
執筆者美容看護師 お仕事科 編集部
看護師の美容クリニック転職専門エージェント「美容看護師 お仕事科」の編集部です。美容経験者から未経験者まで幅広く看護師の転職やキャリア支援を行うエージェントとして、美容・自由診療業界での転職活動やキャリアに役立つ記事を更新しています。